プレゼン資料を「見える化」する方法

プレゼン資料は、情報を「見える化」するためのツールである。

提案をしたり、話し合いをするとき、まずは相手に内容を理解してもらわなければいけない。
最低限の前提を頭の中に描いてもらい、それをたたき台にしてはじめて、話し合いは進んでいく。

実は、文章だけの資料を読んでもらっても、その文章がきちんとしたものであれば、十分、内容は伝わる。

ただ、議論をするためには、情報が「見える化」されていないと、初めてその情報に触れる相手には、酷だ。

文章の情報を整理しながら、それを事前に頭に叩き込んでいる相手と議論しなければいけない。
そんな思いやりに欠ける状況を、強いるべきではない。

ということで、研修で私は「見える化」の方法を、実例を交えながら解説しているわけなのだが…

先日の研修で、参加者から、

「見える化のための、第一歩はなんですか?」

という質問を受けた。

プレゼン資料の全体構成、1ページ内の構成、デザインなど、色々とルールはあるが、
長くなるので、1ページ内だけにフォーカスすると、

「パラグラフ、文章、文節、単語の関係性を明示する」に尽きる。

その方法を、新聞の冒頭見出しの文章をお借りして、解説していくことにする。

文字だけの資料

午前中に仕事がなかった私は、近所のコメダ珈琲店でモーニングを食べながら、
レジ前に置いてあった、読売新聞の朝刊を読んでいた。

第一面には、iPS細胞で脊髄損傷治療の記事が、バーンと掲載されている。

この見出しの文章を、プレゼン資料的に「見える化」すると、どうなるだろう?
ふと思い立ち、紙ナプキンに、ページ内構成をまとめ始めた。

以下は、新聞一面の見出しを、ただ張り付けたものである(内容については、原文に若干の加筆をしています)

残念なことに、世の中には、まだまだこういう文字文字した資料が蔓延している。

これを、「見える化」するとどうなるか?

結論からいういと、私はこのように「見える化」した。

文字文字資料を、このような「見える化」された資料に変えるためには、手順ともいうべき、方法がある。

その手順を踏むことが、「見える化」への第一歩だと、私は考えている。

では、その手順を見ていこう。

手順1:文章間の関係性

今回の記事は、パラグラフが1つの文章(句点まで)となっているので、まず最初に、文章ごとに区切り、その関係性を明確にする。

最初の一文では、今回、何が起こったかが端的にまとめられている。
二文目では、今後の計画。
三文目は、一連の文章の結論(今回は未来を示している)

一文目の事実をうけて、二文目が起こる。矢印で結べる関係性にあることが、まずは分かった。

次は、一文目をさらに文節(意味のまとまり)に分けて、その関係性を考えていく。

手順2:文節間の関係性

一文目を文節に区切ると、最初の3文節は、研究(治療)のステップを説明している。
ここは、内容の肝となる部分であるため、「見える化」したいポイントである。
そして、プロセスというのは、非常に図解しやすい関係性である。

4文節目は、以前の3文節の総称=「慶応大の研究チームの臨床計画」であることを示している。

そして5文節目は、4文節目の計画が、了承されたという経過を示している。

上記の関係を、「見える化」すればよいわけである。

手順3:後続の文章も同様に進める

2文章目の冒頭は、実は、最初の文章にかかっている内容だ。

そして、「最初の移植計画」が予定されているのは、最初の文章を受けて、続いていく内容である。

未来を語っている3文章目は、結論部分に該当する。
資料では、結論・主張部分は、冒頭に持っていき、強調するのがよい。

以上のような手順を踏んで、見える化が実現されていく。

手順4:見える化の方法、あれこれ

上記で考えた、「文章間の関係性」「文節間の関係性」を見える化すると、上記のようになる。

重要部分の文字は、アイコンで「見える化」するのがポイントだ。
(前回のブログで、アイコンの使用方法は紹介済み)

そして今回は、プロセスの関係が多かったので、矢印や三角形を多用している。

また、重要部分のフォントサイズを大きくし、強調することも忘れずに。
ある程度の文章量がないと伝わらない場合は特に、フォントサイズの差による強調は、有効に働く。

色については、2~3色で抑えたほうが、すっきりと分かりやすくなる。

 

以上、「見える化」の方法について、手順に沿って解説をしてみた。

繰り返しになるが、

パラグラフ、文章、文節、単語間の関係性を明示する。

これこそが、「見える化」の第一歩であり、もしかしたら、全部かもしれないな・・・

と、私は思っているのでした(^ω^)

【おまけのお話し】
このブログでは、主に紙資料について解説していますが、スライドサイズを「4:3」としてサンプルを作成しています。紙資料に最適なスライドサイズは「A4」です。しかし、多くの企業のテンプレートは「4:3」であり、企業研修の際に、ブログのサンプルをコピペで活用できるようにプレゼントしているため、「4:3」を採用しています。

スライドサイズ「A4」の設定方法は、こちらの記事をご参考にしてください!

 

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投稿者プロフィール

maki-ichikawa
市川 真樹プレゼン資料コンサルタント
プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。