プレゼン資料の図解:「分類」か「包含」か?

最近、プレゼン資料の作成中に、「分類」「包含」のどちらの図解を採用すべきか迷うことがあったので、その違いについて考えることにした。

結論から言うと「その違いは、MECE(漏れもダブりもない状態)にあり!」なのだが、順を追って説明していきたい。

「分類」と「包含」

辞書によると、「分類」は、「全体を要素に分けて、体系的に配置すること」であり、きっちり分け切ることが求められる。

「包含」は、「つつみこみ、中にふくんでいること」であり、「分類」に比べると、自由度が高いイメージがある。

ということを念頭に置いて、2つの図解を眺めてみたものの、いまいちピンとこない。

分類と包含にしても、、、うららかな春の午後。。。

このまま堅苦しい考察を続ける気分ではないので、久しぶりに、スライドちゃんたちにご登場いただき、ゆるゆると考えてみることにした。

パワポ姐さんの例

先ほどの「分類」と「包含」を、パワーポイント(=パワポ姐さん)で作れるものに当てはめて、図示したものが以下である。

分類と包含をキャラクターで説明

なんだか、同じように見えるけれども・・・早速、「分類」のパワポ姐さんから、ケチがついた。

「分類」はMECEで!

「分類」の本懐は、全体をきっちり分けること。つまり、分類の要素は、MECEでなければならない。

MECE

漏れている

一見、MECEに見えているこの3者(スライドちゃん・印刷資料くん・動画っち)だが、残念ながら、そうではなかった。

パワポ姐さんは、王道3者のほかにも、名刺やチラシ、ポスターなど、あれこれと作れる。それら細々した子たちも「その他」にカテゴリー分けして示しておかないと、漏れになってしまう。

MECEの漏れ

「分類」でも、王道以外は割愛してもOKとしても良いのかもしれないが、やはり「分類」を選択したのであれば、全ての要素を網羅・表記したいところだ。

ダブっている

さて次は、ダブりである。スライドと印刷資料は、本来その性質は異なり、別々の要素となるはずなのだが・・・

スライドを印刷配付する、印刷資料をスライドで投影せねばならないこともあり、ダブってしまう場合がある。そんな大人の事情に議論が移っていくのであれば、パワポ姐さんが許すはずもなく…

MECEのダブり

 

「分類」の図解を使用する際は、MECEを厳守し、各要素を漏れもダブりもない状態で配置しなければならないのである。

 

「包含」はもっと自由

これに対し、「包含」=「つつみこみ、中にふくんでいること」は、かなり寛容的であるように思う。

包含の図解

漏れに寛容

まずは、漏れについて。枠で囲まれた部分の余白に、その他の要素が含まれているという気配を感じる。

包含の余白

他にも色々と要素はあるんだけど、王道として、この3つをピックアップしてみましたというイメージだ。

そのため、「その他」の要素に特にフォーカスしないのであれば、ここに敢えて表記する必要もない。

ダブりにも寛容

包含は、ダブりにも寛容だ。むしろ、ダブった部分に注目して、議論を進めることもできる。

包含とダブり

占有率の見える化

さらに、各要素の占有率を見える化することもできる。

「分類」でも、占有率を図形に組み込むことも可能ではあるが、文字を書けるスペースも共に小さくなるため、読みにくくなる(または読めなくなる)

包含で占有率を見える化

まとめ

以上、「分類」と「包含」の違いを考えた結論として、

「分類」は、「全体を要素に分けて、体系的に配置すること」を目的としているため、MECEを厳守しなければ、そもそもの目的が達成できない。

「包含」は、「中に包み込まれているものに対してフォーカスする」わけで、そこに必ずしも、MECEを強いるものではない。

むしろ、余白で漏れを許容していたり、交差などMECEではない関係性や、占有率を見える化できたりと、その寛容性が特長となる。

どちらの図解を選択するかは、勿論、自分が何を議論したいかによるわけであり、上記のポイント踏まえながら、都度、判断していかないといけないな~と思うのでありました。

 

参考:「分類」の失敗例

以下は、「note」掲載用に私が作成したものだが、「分類」を選択すべきでははなかったと反省した例。

分類の失敗例

センサーの特長3点(静止のものは無視/動きだけを検知/明暗差を広く表現)の説明に、「分類」を感覚的に採用してしまった。

MECEの視点として、ダブりはないが、漏れがある(他にも特長はあるはず)

重要な3点以外は割愛したとすることもできるだろうが、「分類」を選んだために、「他に特長はないのか?」と、聞き手の脳をMECEの追求へと働かせてしまうこともあるかもしれない。

ならば「分類」を選ばないで、「包含」または「特長を並列列挙」するだけでも良かったと、この記事を書きながら思った。。

参考:「包含」の正解例

以下も、「note」掲載用に私が作成したものだが、これは「包含」を選択して正解だったという例。

包含で正解の事例

全ての利用者に嬉しいサービスには、リスナーが享受できるもの、投稿者が享受できるものが包含され(ここは分類のほうが良かったかもしれないが…)、その下にも具体例が「包含」されており、「交流」が両者にダブっている。

このダブりをもっと強調するデザインにできたかもしれないが、それはまた次の機会にTRYしよう(備忘録)

 

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投稿者プロフィール

maki-ichikawa
市川 真樹プレゼン資料コンサルタント
プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。