「上司が部下の資料をチェックする」3つのポイント

「上司が部下の資料をチェックする」3つのポイント

皆さんは、部下の資料に、こんなコメントをしていませんか?

「論理的じゃない!」

しかし、そう指摘された部下の多くは、どうしたら論理的にできるか、分かっていません。

一喝するのは簡単です。でも、資料が論理的でないと言いながら、論理的なアドバイスを与えていないのであれば、それは不信感につながる危険があり、さらに部下の資料レベルも向上しません。

私は、資料作成代行や資料コンサルとして、お客様の資料を拝見し、改善策を共に考えることを生業としています。私のこのスタンスは、部下の資料をチェックする際の上司の視点に、なんらかのヒントをご提供できるものだと、考えています。

今回は、部下の資料をチェックするときに着目すべき点について、簡単に説明していきます。

論理的にチェックする

部下の資料を、論理的にチェックする。

そのためには、部下の資料の中身を、以下のピラミッドストラクチャーに当てはめ、分解してみることをおすすめする。

pyramid

これは、ロジカルシンキングやプレゼンテーション、資料作成、伝え方、文章の書き方など、ありとあらゆる指南書の「構成」部分でお目にかかる内容なので、ご存知の方も多いと思う。

若干、違うといえば、一般的なピラミッドストラクチャーは濃いグレーの部分であるが、上記は、冒頭に「現状・課題」、ピラミッドの最後で「総括・未来」を語り、最後に「付加情報」を追加している点。とはいえこれは、一般的な提案書の雛型である。

ただ、部下の資料(特に、印刷するタイプの資料)をチェックするツールとしては、有効であると私は考えている。

もし、上手く当てはめられなかったら、その資料は、説得力に欠くものになっているはずである。

では、「上手く当てはめられない」とは、どういうことか? 私がよく出くわす、3つのパターンを紹介する。

① 現状・課題がない

「上手く当てはめられない」よくあるパターンに、冒頭に現状・課題がなく、いきなり提案の本題である商品・サービスの特徴(=解決策に該当)から始まるケースがある。

最近は、プレゼンや資料作成本の普及の成果か、このパターンは、数年前に比べて、大分減ってきたように感じるが、依然、残念な資料のトップとして君臨している。

相手の現状・課題のない資料は、聞き手がその提案を自分事として捉えることができず、売り手のアピールばかりが強い印象を与え、受け入れられることはない。

この部分は、全体の約30%程度を占めても良い(「プレゼンは目線で決まる」西脇資哲著・ダイヤモンド社)と、プレゼンの大家も唱えているほど、重要な部分。もし、部下の資料に欠落していたら、必ず指摘しなければならないポイントだ。

この部分にもう少し踏み込むと、ここは、ロジックツリーでいう「Whyツリー」の総括にあたる。よく、現状・課題のほかに、問題、原因などの用語なども登場するが、これらの用語は、現状(目の前の問題)の原因として初期仮説を立て、データで検証し、取り組むべき課題まで昇華させるというという関係にある。「クリティカルシンキング」等の用語で検索すると、分かりやすく解説してある。

さらに、よくある失敗例として、現状・課題が、解決策とかみ合っていないことが挙げられる。折角、課題・現状を掲げても、そこに解決策がなければ、聞き手は肩透かしを食らうし、提案者は信用を失う。この点も、チェックポイントとして、ご留意いただきたい。

② 解決策が自分視点

解決策の論点が、提案者側のアピールポイントで切られているということがよくある。その結果、提案者目線の解決策となり、聞き手の心には届かない。現状・課題の解決策として導かれているのだから、100%提案者目線ということはありえないのだが、それでも、聞き手側のメリットとしての切り口となっているかどうかは、チェックしなければならない。

その際、上司が正解を出す必要はないと、私は思っている。部下に「この解決策は、聞き手の目線で組み立てられているか?その根拠を示せるか?」を問い、その説明が十分でないと感じたら、聞き手の立場で共に考え、新しい論点を導く。チェックするというのは、上司が作り直すということではない。

私が、資料コンサルとして案件に関わる際は、当然であるが、答えは私の中にはない。提案詳細と背景にある様々なことを理解しているのはお客様であるし、答えを知っているも、お客様だ。それを引き出すことが私の役割であり、実際、そこまでしか、私にはできない。

経験豊富な上司であれば、勿論、正解を与えることは簡単に違いないが、それでは、部下の資料力は上がらない。解決策の切り口の考え方を示唆して、部下を導いていただきたい。

③ 効果が不在

効果がない解決策は、押し付けでしかない。解決策と効果はセットであるにも関わらず、解決策の羅列で終わる提案書は多い。効果はデータなどで定量的に示すのが望ましいとされている。この効果については、ここで詳細を説明するには、内容が深すぎるので、より詳しく知りたい方には、「これだけ!プレゼンの本質」(野村尚義著・すばる舎リンゲージ)をおすすめしたい。

さらに、この部分のチェックポイントとしては、「効果も入れた解決策の総括(まとめ)・未来を語る」がきちんと、ページとして存在しているかどうかだ。コアな提案の最後の部分(スケジュール等の前)で、解決策と効果の関係性を明確にし、それを一覧にして総括し、提案者側の想いを一文のメッセージとして貼る。そのぺージを示しながら、提案者が熱く語るという手法が、クロージングとして非常に効力がある。そのため、このページをきちんと作成できているかも、必ずチェックしていただきたい。

まとめ

以上が、部下の資料を論理的にチェックする際の方法と、着眼点です。

他にも、いくらでもポイントはあると思いますが、今回は「構成」について、これだけは!というポイントだけを、まとめました。

部下を「論理的ではない!」と叱咤する際、まずは、部下の資料を冒頭のピラミッドストラクチャーに落とし込んで、構成を「見える化」し、それを共有しながら、①~③の着眼点を参考に、アドバイスを与えていただきたい。そうすれば、部下も「なるほど!」と納得し、彼らなりの主張や反論もしやすくなり、コミュニケーションも円滑になるに違いありません。

そして、部下の資料作成力は強化され、資料の質も向上し、結果として、プレゼンの勝率が高まります。

最後に、「論理的でない!」と上司に資料を突き返された部下の方は、その資料を、上記の「上司目線」でチェックして、ピラミッドを見せながら説明すれば、きっとOKがもらえるはずです。

是非、試してみてください!

投稿者プロフィール

市川 真樹
市川 真樹プレゼン資料コンサルタント
プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。