プレゼン資料の「フローチャートの時間」縦/横 どっちに流す?

「フローチャート」を作成する時、時間を縦方向で上から下へ流すか、横方向で左から右に流すか、迷うことがある。

迷いながらも、「なんとなく・・・今回は縦かな?」などと手探りで作るケースが大半だと思うので、今日は、フローチャートの縦/横について、考えてみたいと思う。

※ここでいう「フローチャート」の定義は、四角形と矢印から成るシステム図ではなく、プレゼン資料によく登場する手順などを示す図解のこととする。

横に流すメリット:時間の幅を見える化できる

まずは、某銀行のあるサービスの利用手続きを図解した、このフローチャートから考えていこう。

フローチャート横

よく見るパターンだし、「これは間違いだ!」と一刀両断にするのも、乱暴な気がする。

しかし・・・あえて言おう、カスであると(って、言いたかっただけ。ガンダム世代ゆえ)

この内容は、時間軸を横に流すことで得られるメリットを、全く活かしていない。

時間を横に流すメリットは、時間の幅を見える化し、読み手に期間を体感させることだ。

今回のケースであれば、各ステップの間に、顧客が待たされる時間が発生しているはずで、その長短を見える化できているのであれば、この選択は、正解となる。

つまり、以下のような図解であれば良いのだ。

フローチャート期間入り

上記は、待機時間の長短を見せているので、四角形の間隔の差で長さを見せているが、

業務にかかる所要時間などについては、以下のような図形を組み合わせる場合が多い。

所要時間の図解

また、「ガンチャート」と呼ばれるスケジュール管理表も、期間を可視化することが目的であるため、横に流すべし!とされている。

話を元に戻そう。では、単に手順だけを示したいというのであれば、どうすればよいか?

縦に流すメリット:手順を踏む重要性を強調できる

単に手順の紹介だけというなら、縦にすればよいのだ。

銀行手続き1

そしてこの選択は、縦にすることで得られるメリットを、十分に活かしている。

時間を縦に流すメリットは、上下をつけることで順番を見える化し、手順を踏む重要性を強調できる点だ。

銀行としては、お客様に、上から一つひとつ漏れることなく実践してもらいたいわけで、そのためには、手順を強調した縦の流れが相応しいといえる。

また、プレゼン資料の場合は、縦方向のほうが、より多くの情報を盛り込むことができる。

縦方向情報盛り込み

とはいえ、情報を盛り込みたいから縦にする!という発想ではなく、上下をつけて手順を踏むことを強調したいから縦にする!という視点を忘れないでいただきたい。

縦に流すメリット:要素を比較しやすくできる

さて、時間を縦に流すメリットについて、さらに話を進めていく。

以下は、「AISAS(ウェブを日常的に利用する消費者の購買に関する心理プロセス)」の前後に、InsightとCollaborationを追加した図解である。

マーケティングの時間ではないので、中身の理解は置いておいて、フローチャートの流れに注目いただきたい。

AISAS横

時間の流れは、消費者の心理プロセスに沿って、左から右へ、横に流れている。

そしてその下で、従来型Eコマースと、ソーシャル型Eコマースの特徴が比較されている。

ここで、前回のブログ「表の作り方・縦と横どっちがどっち?」を思い出していただきたい。

プレゼン資料を見た場合、視線の流れは、まずは左上にぽーんといき、その後、右側に流れる。

そのため、比較したいものを横に並べると、視線の流れに沿っているため、比較しやすい・・・というより、無意識に比べてしまう。

逆に、比較したいものを横に並べないと、その違いを、違いとして認識しずらくなるのである。

上記の図解は、従来型とソーシャル型の要素が上下に並んでしまっているため、その違いが、ぱっと頭に入ってこない。

しかし、「I+AISAS+C」の心理プロセスを縦に流せば、2つの型を横に並べることができ、その違いを比較しやすくできるのだ。

AISAS縦軸

まとめ

以上、フローチャートの時間を縦に流すか、横に流すかについて、それぞれのメリットから考えてきた。それらをまとめると、

【横に流すメリット】
 ●時間の幅を見える化できる

【縦に流すメリット】
 ●手順を踏む重要性を強調できる
 ●要素を比較しやすくできる

図解の役割は、要素の関係性を見える化し、読み手に情報の意味を体感させること。

フローチャートも例外ではなく、時間を流す方向をなんとなく決めてしまうと、そのメリットを享受することができず、

伝わるものも、伝わらなくなってしまうので、注意が必要だ。

図解は全く持って、奥が深い。。。

けれども、正しく使えば、あなたのプレゼン資料をもっと分かりやすく、もっと伝わるようにしてくれるはずなので、都度立ち止まって考えてみてください。

私も、悶々と考えた結論を、このブログで、ゆるゆる紹介していきます♪

追伸:続きの記事を書きました。「プレゼン資料で『フローチャート』×『表』を作るときのポイント」併せてご覧ください。

 

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投稿者プロフィール

maki-ichikawa
市川 真樹プレゼン資料コンサルタント
プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。