プレゼンテーション、あなたは感情派?論理派?
プレゼンの構成として、よく登場する2つの王道がある。
ひとつは、「英雄の旅」といわれる、ハリウッド映画の脚本などで見られる、聞き手の感情を揺さぶるフレームワーク。
もうひとつは、ロジカルシンキングの伝えるツールで「ピラミッドストラクチャー」と呼ばれる、論理的なフレームワーク。
両者ともプレゼン界の常連であり、ご存知の方も多いかと思うが、その関係性ってどうなのだろう?と、興味が湧いたので、考えてみることにした。
「英雄の旅」の全貌
「英雄の旅」とは、カール・ユングの心理学や、ジョーゼフ・キャンベルの神話研究から引き出されたストーリー・モデルである(参考:『ザ・プレゼンテーション』ナンシー・デュアルテ著・タイヤモンド社)
これを、縦軸に成長、横軸に時間をとって図示すると、以下のようになる(参考:『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威著・Cross-Media Publishing)
スターウォーズやスパイダーマンなど、ハリウッド映画の多くは、このパターンで構成されている。
オーディエンス(聞き手)をハラハラドキドキさせることができるので、講演やスピーチコンテストなどでも、よく使われるフレームだ。
ビジネスの世界でも、デザイナーと呼ばれる人たちは、この方法でプレゼンテーションをすると、上述の著者である佐宗氏は語っている。
ユーザーを英雄に見立てて、ある商品やサービス(メンターや仲間の位置づけ)との出会いで、ユーザーが試練に立ち向かい、成功を掴むストーリー仕立ての提案プレゼンのことである。
私も年初に、某広告代理店の依頼で、とあるプロジェクトの世界観を伝える「英雄の旅」プレゼンに携わった。
今後、このような嗜好のプレゼンが増えてくるのかもしれないが、私自身、そのような体験は稀で、ビジネスプレゼンの現場では、論理的に整理するケースがまだまだ主流だなと、日々の案件から感じている。
「英雄の旅」 VS 「ピラミッドストラクチャー」
ここで、「英雄の旅」と「ピラミッドストラクチャー」が対決するケースについて、考えてみたい。そうすることによって、両者の違いが分かりやすく説明できるかな?と思うからだ。
まず前提として、あなたは、論理的思考が大好きな部長の部下です。
あるセミナーに参加し、著名なデザイナーのプレゼンに感銘を受けたあなたは、自分もやってみたい!と思い・・・「英雄の旅」のフレームワークで作成したプレゼン資料を、上司に提出した(聞き手の分析が足りない、無謀するぎる!という議論は、今はなしでお願いします♪)
資料を一読したロジカル部長は、恐らく、こんな風に吐き捨てるだろう。
そして、こう続けるだろう。
その後、少し考え込んで、英雄の旅フレームワークを、ピラミッドストラクチャーで論理的に再構築して、、、
という、指示を与えるに違いない。
ちなみに、部長の頭の中には、以下のピラミッドストラクチャーが埋め込まれている。
正解を求めるナンセンス
以上、「英雄の旅」と「ピラミッドストラクチャー」の関係性を、具体的に描けた・・・ような気がする。
とはいえ、「英雄の旅」を「ピラミッドストラクチャー」で論理的に斬ったところで、なんの益もない。
逆もまたしかり。。。
そもそも、両者の目的が違うのだから、どちらが正しいというものではないのだ。
「英雄の旅」は、オーディエンスの興味をかきたてて、ドラマ性ある体験を実現し、感情を揺り動かして、共にゴールを目指していくことが目的。
一方、「ピラミッドストラクチャー」は、論理的に結論、根拠、具体例を整理し、全体像を相手に伝え、正しさで説得することがゴールである。
社内会議資料や、ガチガチの営業提案書で、「英雄の旅」はどうかと思うけど・・・
実際に、「英雄の旅」を「ピラミッドストラクチャー」の冒頭部分と上手くミックスさせた、新事業のお披露目プレゼンに携わったこともある。
大切なのは、両者を正しく理解し、「プレゼンの目的」や「聞き手の思考傾向」によって、選択肢を持てることだと思う。
どうすれば、より理解されるか、より伝わるか、より寄り添ってもらえるか。。。
それを悶々と考えることを愛せるのならば、きっとプレゼンは成功する!と自分に言い聞かせて、、、私も、妥協しないで頑張ろうっと、どこまでも♪
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投稿者プロフィール
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プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。
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