プレゼンテーションの話し方と「吃音症(きつおんしょう)」

プレゼンテーションの話し方と「吃音症(きつおんしょう)」

今朝、NHKのあさイチを見ていると、「吃音症(きつおんしょう)」の特集をやっていた。

「なるほど、大変だよね~」と深く同情する私も、ものごころついたときから、吃音症である。

しかし現在は、研修講師を生業としている。

私の専門分野は「プレゼン資料作成」であり、話し方の講師ではないのだけれど、臆さずべらべらしゃべるせいか、

「人前で上手く話せないのですが、どうすれば先生みたいに堂々とプレゼンできるようになりますか?」という質問をよく受ける。

答えは、「上手く話す必要などない!」に尽きる。

もちろん、そんな根性論だけでは満足してもらえないので、解決策として以下の3点を提案している。

  1. 「間」の力を借りる
  2.  「ジェスチャー」の力を借りる
  3.  「スライド」の力を借りる

今回は、これらをひとつひとつ、吃音症である私の経験と照らしながら、説明していきたい。

上手く話す必要などない!

「プレゼンで上手く話せないのですが、どうすればいいですか?」という質問に対し、私はまず、こう答えている。

「プレゼンテーションにおいて、上手く話そうとする必要はありません。

聞き手は、あなたを見に来ているわけではないのですから。私たちは、俳優やタレントじゃありませんからね。

聞き手は、あなたの持っている情報、市場のトレンドや商品サービスの特徴、ビジネススキルなどが、自分にどう役立つかが知りたいだけなのだから、それを相手に伝えることだけに集中すれば良いと思います」

なにやらとても偉そうだけれど・・・・私自身、そもそも体質的に、上手くしゃべることはできない。その理由は、ものごごろがついたときから、吃音症であるからだ。

吃音(きつおん)の壁

私の吃音は、幼稚園~小学生の低学年のころは特にひどく、大学付属病院の言語聴覚士の先生のところに、長らく通っていた記憶がある。

私の主な症状としては、連発(語音・音節の繰り返し)と、難発(ブロック)だった。

連発は、「あああああ、ありがとう」となってしまう症状。

難発は、「・・・・・・・・・・(ありがとう、と言えない)」のように、言葉がつまって音が出てこないものだ。

子供のころは随分からかわれていたが、気の強い性格だったので、からかう相手に喰ってかかって逆に泣かせて、先生に怒られていた記憶がある(団塊ジュニア…まだまだ荒々しい時代だった)

大人になって、連発はかなり治ったものの、難発は依然、継続中である。

特に、ア行から始まることばが出てこなくて、いつも難儀している。出てこない言葉を回避しようと違う言い回しを探すため、説明が回りくどく分かりにくくなってしまうのだが、まあ、それは仕方がないと開き直ってきた。

そんな私が今、研修講師をやっている。

1日に相当量をしゃべる中で、常に難発の症状には悩まされている。

講師の本分が上手く話すことにあるのなら、私には一生無理な話だ。だって、そういう体質に生まれてきたのだから。

ということで、上手くしゃべることなんて、はなから目指していない。

では、何を目指しているのか?

「相手に伝わる!」この一言につきる。

伝わるための話し方

伝わるための話し方。専門分野ではないのだけれど、吃音の私が実践している3点を、今日は紹介したい。

吃音ではなくても、話し方に悩んでいる人には、何かの助けになるかもしれない。

① 「間」の力を借りる

吃音の症状がでたら、一度、話しを止める。一呼吸おいて、ゆっくり話し出す。

子供ならば、吃音はからかわれるポイントなのだけれど、大丈夫。大人はそんなことは許してくれる。気づかない振りをしてくれる。もし子供のような反応を見せる人がいたら、可哀そうなやつめと、上から目線で冷笑しておけばよい。

重要なのは、自分自身が舞い上がらないこと。しどろもどろになって、話の内容がより伝わらなくなってしまうことが、一番、恐ろしい。

そして「間」というのは、聞きやすさを生むポイントでもあるため、吃音を間にかえることで、かえってメリハリもつき、わかりやすい話し方になったりする。

これは、吃音の効用で役得だと、内心ニヤニヤしている。

② 「ジェスチャー」の力を借りる

面白いことに、吃音の症状は、体の動きと連動させると、軽減する。

そのため、吃音の症状が出たら、手を胸の前で回して言葉を吐く助けとしたり、歩き回って勢いをつけたり、わざと聞き手に背を向けてスライドを見たりすると(実は、力んでいる様子を隠しているだけ)、言葉をなんとか絞り出せる。

私のジェスチャーが激しいのは、実は、吃音の症状を克服するためにあがいている姿だったりもするわけで・・・でも、そんなことを知らない聞き手は、ジェスチャーが大きくて、わかりやすいと評価してくれるから、もうけものである。

③ 「スライド」の力を借りる

話し言葉だけが、伝達手段ではない。

難発の症状のせいで、ア行から始まる言葉が必ず出てこない私は、その言葉をスライドに書いて、「これですね!」と手で示して、しゃべることを回避する。

例えば、パワポの機能である「アニメーション」なんて言葉は、絶対にスラスラと言えないので、必ずスライドに大きく記載する。そして、もし言葉につまったら、しゃべることはさっさと諦めて、聞き手に読んでもらうことにしている。

つまり私は、スライドと連携しなければ、情報を十分に伝えることができないのだが、それがかえって絶妙な演出となり、分かりやすいスライドプレゼンテーションとして昇華している(はず?)だと、自画自賛している。

まとめ

このように、吃音の私は、身体の全部、そしてスライドなど、あらゆるものを駆使しないと、相手に十分に情報を伝えることができない。

でも、それらを駆使して、「なんとしても、伝えたい!」という気持ちを強く押し出せば、相手の興味をかきたてることができる。

伝えたい!という本気は、相手に伝わる。

いや、本気しか、相手には伝わらない。

だから、上手くなんて話せなくても、聞き手に伝わるプレゼンテーションができる。

と、私は研修講師をしながら、実感している。

人前で話すのが苦手・・・と思っている方は、「相手に伝えたい!」という思いにだけに集中して、「間」や「ジェスチャー」や「スライド」など、あらゆる手段を味方にすれば、きっと、相手に伝わり、相手のこころを動かすプレゼンテーションができるはず!

と、やはり根性論的なまとめになってしまったけれど・・・

上手く話せなくても大丈夫♡  伝えたいという思いと、本気で向き合ってみてください。

投稿者プロフィール

市川 真樹
市川 真樹プレゼン資料コンサルタント
プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。