オンライン会議・商談でも分かりやすい!プレゼン資料デザインの5つのポイント
新型コロナウイルスの影響により、社内会議や取引先との商談をオンラインで行う機会が大幅に増えている。
オンライン化によって露呈されること、それは「プレゼン資料の分かりにくさ」である。
今までは、資料がごちゃごちゃとしていても、相手の表情をみながらフォローしたり、難解な資料を脇に押しやってホワイトボードで説明をするなど、柔軟な対応ができた。
しかしオンラインでは、画面共有でドーンと映し出された資料だけで、相手の理解を得て、意思決定をしてもらわなければならない。
そんな重責を果たせる資料は、どのように作成すればよいのだろうか?
その答えとして、今回は「オンライン会議・商談でもわかりやすい!プレゼン資料デザインの5つのポイント」を用意した。
1. ワンスライド・ワンメッセージ
2. 文字情報の見える化
3. 口頭で視線誘導(番号・色・図形の活用)
4. 飽きさせない(アイコン・写真の活用)
5. ネタバレ禁止
1. ワンスライド・ワンメッセージ
まず、こちらのプレゼン資料を見ていただきたい。
※これは、プレスリリースの冒頭をそのままパワポに張り付けた内容であり、著者が説明用に作成した資料です。多摩美術大学や小田急電鉄が作成したものではありません。
オンライン会議や商談で、このようなプレゼン資料を共有してはダメだ・・・というのは、一目瞭然だろう。
この資料の欠点は、まず、情報量が多すぎること。
この中には、以下の通り、3つのメッセージが詰まっている。
これはオンラインに限ったことではないのであるが、1枚のスライドに複数のメッセージが詰め込まれていると、聞き手は消化不良を起こす。
そして、多くの情報を押し付けられた~とウンザリしてしまい、理解しようという姿勢や、興味までもが失せていく。
そもそも、オンラインでこのサイズの文字を読むのも酷だ。。。
今回の場合は、①②③の内容で分割し、スライドを3枚にするべきである。
2. 文字情報の見える化
ならば!ということで、①の内容だけで最初のスライドを作成したのが以下である。
最初のものよりは、わかりやすくはなったが・・・依然、文字だらけの資料である。
文字を読むことによって、人は頭の中で、その情報のイメージを描く。
しかし、相手の話を聞いたり議論をしたりすると、そのイメージはどんどん薄れていき、「はて、何の話だったっけ?」と、本題を見失うことが多々ある。
オンラインの場合は特に、画面に集中するあまり、自分の頭の中に描いたイメージに立ち戻るのが難しくなるように感じる。
聞き手に負担をかけず、議論を活発化させるためにも、文字情報は、文章を構成する要素の関係性を見える化し、聞き手に描いてもらいたいイメージを、そのまま資料で表すという意識を持つべきであると、私は考える。
すると、このような資料が出来上がる。
まず、多摩美術大学と小田急電鉄が協定を締結したという関係を、並列(中間に×も記載してシナジーも強調)で見せる。
そして、この協定締結が原因となって起こりうる(=期待する)結果を、矢印(ここでは▼で表現)でつなぐ。
これが、文字情報の見える化である。
3. 口頭で視線誘導(番号・色・図形の活用)
次に、このスライドを、オンラインの状況下で、より説明しやすくするための工夫を施していく。
例えば、「地域活性化についてお話ししますね!」と言った場合、聞き手の視線は、「地域活性化」という文字を求めて、一瞬さまよう。
この程度の情報量であれば、ぱっとみつけることはできるかもしれないが・・・
もし、情報量がもう少し多かった場合は、確実に、聞き手が情報を探してアワアワとなる時間が発生する。
では、ここに番号をふったら、どうなるだろう?
「2番の地域活性化についてお話ししますね!」といえば、該当する情報をすぐ見つけることができ、誰も迷子にならない。
このように、明確な口頭説明により、聞き手をアワアワとさせない方法は、番号をふる他にも、色や図形の種類を意図的に変えることなどが挙げられる。
上記であれば、「『青』の小田急電鉄」「『薄青の四角形』は協定締結により期待される効果です」「『3』の生活環境向上」など、スライドのどの部分を指しているのか、口頭説明のみで、相手と即座に共有できるのである。
※発表者ツールのような機能で該当箇所を指し示すことができる場合もあるが、ネット環境によっては動作が鈍くなったりもするため、口頭説明ができるように作り込みをしておくことをおすすめしたい。
4. 飽きさせない(アイコン・写真の活用)
上述のスライドを完成版としても・・・まあ、許容範囲内だとは思う。
しかし、画面共有で映し出されるスライドが、文字と図形の単調な組み合わせだけでは、きっと聞き手は飽きてしまう。。
また、折角情報を見える化したのであれば、そのイメージをさらに強固なもとして、相手の記憶に焼き付けたい。
そのために有効な手段が、アイコンや写真、そしてスマートアートなどのビジュアルの活用である。
上記は、イメージ写真を追加しただけであるが、一気に訴求力が上がったのではないだろうか。
5. ネタバレ禁止
前述のスライドで完成でも、間違いではない。
しかし、スライド内の情報を一気に見せると、聞き手は説明される前に全てを読み終え、内容を理解した気持ちになってしまい、説明に耳を傾けなくなる危険がある。
または、情報がやや多めのスライドを共有した場合、聞き手が情報の解読に夢中になり、これもまた、こちらの話に集中してもらえなくなる。
このような事態を避けるために、アニメーション効果によって、説明する箇所だけ登場させる工夫をしていただきたい。
つまり、以下のような流れとなる。
オンラインプレゼンにアニメーション効果を設定する際の注意事項としては、「アピール」のみを使用するのがおすすめだ。
Zoomの場合は、「アピール」以外の効果でも比較的スムーズに映し出されるが、その他のアプリの場合は、動きがカクカクなりがちだ。
また、Zoomだったとしても、ネット環境によっては、やはり動きが鈍くなるので、アニメーション効果は、継続時間が短いものが良いのである。
「フェード」で継続時間を0.25秒にするなどでも大差はないが、それでも若干の不安が残るので、私は「アピール」のみにしてる。
同様に「画面切り替え」効果についても動きが鈍くなるので、私は、オンラインの場合は設定しないようにしている。
まとめ
以上、オンライン会議・商談で分かりやすい!プレゼン資料デザインの5つのポイントを説明しました。
1. ワンスライド・ワンメッセージ
2. 文字情報の見える化
3. 口頭で視線誘導(番号・色・図形の活用)
4. 飽きさせない(アイコン・写真の活用)
5. ネタバレ禁止
会議にしても、商談にしても、オンラインで大丈夫じゃないか!という意見もよく耳にしますが、私自身は、人に情報を伝え、意思疎通を図り、決定を下してもらうという過程において、リアルで会うということがいかに威力があり、いかに効率的だったかということを、しみじみと感じています。
しかし、オンラインという拘束下でも、資料の持つ伝える力をオンライン仕様にし、最大限に引き出すことで、成果を上げることができるはずです。
そのためにも、この5つのポイントを参考にしていただければ幸いです!
おまけ:詰め込まなくてはいけない場合
上記で5つのポイントを紹介しましたが、私が資料コンサルや作成代行で携わっている案件では、ワンスライド・ワンメッセージが難しいケースが多々あります。
コンペの資料や商談パッケージなど、1枚のスライドに複数のメッセージを共存させて、まとめあげなければならない場合があるからです。
そのような「詰め込み型の資料」でオンライン会議を進行しなければならないことは、会社の現実として少なくないはずです。
そんな場合でも、5つのポイントの2~4を駆使すれば、相互理解と議論の活発化は図れると私は考えています。
以下に、最初の文字だらけの資料と、その情報量をキープしながら2~4を駆使して完成させた資料を掲載しておくので、「詰め込み型の資料」が必要な方は、ご参考にしてください。
最初の文字だらけの資料
情報量をキープして2~4を駆使した資料
参考)情報の棲み分け
増強版を執筆しましたので、併せてご参考にしてください。
【リモート時代のプレゼン資料術】オンライン商談・会議でわかりやすい!15のコツ
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プレゼン資料作成のスペシャリスト。
見栄えを上げる「パワーポイント術」、人や組織を動かす「スライド理論」、魅せる×伝わる「デザインの知識」をベースに、スライド作成代行サービス、企業研修・セミナーを展開中。
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